読解と言語化の
セールス・イネーブルメント
セールス・イネーブルメントとは

セールス・イネーブルメント(Sales Enablement)。この言葉の「Enablement」は、「enable(~を可能にする)」という意味を持ち、営業組織が継続的に成果を上げるための人材育成と改善に向けた取り組みを指します。この概念は新しいものではないため、なぜ今、このことを話題にするのかと疑問に思う方もいるかもしれません。それには、従来の営業教育との明確な違いがあります。

営業人材の育成には、商品や顧客に対する知識、営業プロセス、アプローチのスキルなど、多岐にわたる要素が必要です。集合研修やOJT(On the Job Training)は、これらのスキルを向上させる一般的な方法ですが、完璧ではありません。下図をご覧ください。

従来の営業育成とセールス・イネーブルメントの違い

例えば、「ソリューション営業コース」や「プレゼンテーション力強化講座」のような集合研修は、新しい知識や気づきを提供しますが、それが必ずしも現場で役立つわけではありません。一方で、現場のOJTの効果は、指導する人によって大きく異なり、一貫性や品質が保たれにくいのが現実です。「○○さんの下で営業という仕事が覚えられ、一生ものです」といったこともあれば、「○○さんにはできても、私には再現できません」といった事もよく起こります。

セールス・イネーブルメントは、これらの弱点に対処するアプローチです。個人の勘やセンスに依存する部分を減らし、ハイパフォーマーの暗黙知を組織で共有し、マネジメントと育成に活かす方法を採用しています。強い営業組織では、この原則が実は古くから実践されています。

しかし、多くの会社では以下のような問題が未だに存在しています。

営業が個人の主観に依存していて、活動の精度が低い

①受注率の低さ ②想定外の失注 ③競合に対する弱さ ④見込数字のブレ

営業の型化が不十分なため、プロセスが属人的であり、成果に大きな差が出る

⑤営業社員の定着率の悪さ ⑥マネジメントとしての弱さ ⑦育成・戦力化に長期

SFAなどのIT導入が目的化(主に管理面)してしまい、成果に直結していない

⑧むしろ非効率なことがある ⑨やる気にネガティブな影響

これらを解決し、組織全体での営業力の向上を目指すのが、セールス・イネーブルメントの目的です。

Service

SFアールは、
リクルート他強い営業組織が持つノウハウを
お客さま一社一社にあった形で根付かせる
セールス・イネーブルメントの専門パートナーです

I 営業プロセスを顧客視点で整備・再定義

「顧客視点の営業プロセス」とは、売り手側の行動ではなく、顧客の検討プロセスを考慮したものです。
例えば、見積の提出は、顧客からの依頼で「社内稟議の申請をしたいので正式見積もらえる?」なのか、営業側からの「見積だけ一度見て下さい」なのかで局面は全く変わってきます。顧客の意思決定が進んでいるのかをチェックし、可視化する必要があります。お客様の商品や顧客の特性にあわせて、移行判定基準を設定していきます。

移行判定基準を共有するケーススタディ

Aヨミ
事務手続きが残っているが、発注することは決まっている状態

顧客:「これから社内決済とるので正式見積書くれる?」
営業:「ご決済される役員の方はご了承済ですか?」「手続き過程で差し戻しになる懸念はありますか?」
顧客:「いやいや大丈夫。根回し終わっているし役員内諾もあるから、形式的な手続きだけだよ」

⇒こんな会話ができたらAヨミ

Cヨミ
顧客が商品に関心を示し、提案してもらいたい状態(情報収集ではなく商談化)

顧客:「なかなかユニークなサービスですね、関係者で検討してみますよ」
営業:「活用方法や費用面のご提案をさせていただきたいので、もう少し現場の方にヒアリングさせてもらえますか?」
顧客:「いやいやまだそこまでは、、、もう少し検討してこちらからご連絡しますよ」

⇒Cヨミに移行できていない

II ヨミ表、ヨミ会の伴走コーチング

(1)管理職クラスと移行判定基準に基づいたヨミ表を設計します。

ヨミ表の基本イメージ(エクセル形式の例)

ヨミ表とは、見込案件の管理と同時に、受注活動と予算達成のシミュレーションが行える形式を備えたツールです。確度、金額、時期をヨミ、更新しておくことが必要になります。フェーズごとに案件管理を行い、達成までの不足金額を明確にします。(ヨミ表、ヨミ会はリクルートの社内用語)

(2)管理職向け事前レクチャー、メンバー含めた説明会をそれぞれ行います。

移行判定基準、ヨミ表の入力(確度、時期、金額)方法、次の一手の認識を合わせ、ヨミ会運営について研修を実施します。

(3)一定期間、ヨミ表をもとにした1on1でのヨミ会(通常週1回)に同席コーチングを行います。

  • 1回約30分×メンバー数
  • 管理者向けフィードバック、メンバー向けロールプレイングなど

ヨミ会では

  • 顧客反応の見極め、商談ネックの発見
  • 刺さる訴求、アプローチ
  • 仕事の優先順位、社内活用、新規活動量

などの観点から、戦術レベルの擦り合わせを行います。さらに細かい

  • 顧客から反応や懸念を引き出すトーク、プレクロージング
  • 小さな同意の引き出し方、有効訪問のアポイント
  • 営業資料や社内リソースの活用方法、などの共有をケースに応じて行います。

※ヨミ会は、習慣化によってオンラインでの実施も可能になります。

III 手段としてのIT化

ヨミ数字の更新は営業の基幹業務であり、そのIT化はセールス・イネーブルメントを強化します。お客様の文化、ITリテラシー、ご希望を把握した上で、最適かつ実行可能な手法をご提案いたします。

(1)既存のSFA/CRMを利用

ご利用中のインフラは、仕様内でフォーマットを変更して最大限に活用いたします。また、必要に応じてIT部門やベンダーとの窓口として対応をおこないます。

(2)新規にクラウド型SFAを導入・運用

SFA/CRMを初めて導入する企業向け 「エクレア」(https://ecrea.co.jp/)の導入、設定、データ移行、運用管理を行います。ご希望のサービスがある場合はその初期設定、また、選定から始めたい場合のご支援も承ります。

いつでもデータ更新できるクラウド環境によって、残数字と動き方を常に意識する習慣が形成され、「いきなりヨミ会の本題に入る」ことが可能になります。また、データの集計・分析の自動化とリモートで働く環境も併せて整備され、業務効率化に大きく寄与します。

(3)エクセルベースのヨミ表を制作

まず、表計算でヨミ会をスタートし、クラウド化は平行的に検討していきます。

効果事例
製造業
行動のKPI 管理に
ヨミの「超可視化」を加え、
メーカーの強みを発揮。
→拠点の新規売上だけで
年間約9千万円を獲得。

実施前

・部門売上は前年減、新規、中・大型案件の獲得が課題

・訪問件数、見積提出数、サンプル出荷数などの数値管理が中心

・組織数字を週次共有、個人数字は月間管理、過去にSFA失敗

実施後

・個人毎に週次でヨミ会を行い、見込数字、優先活動を宣言・共有

・顧客反応への嗅覚があがり、確度付けと行動の精度がアップ

・商談管理DBのクラウド化を決定(組織的、継続的な IT化)

営業マンの声
受注につながらない見積提出が減り、受注と確度アップの数が増えました。営業アシスタントさんへの無駄な作業依頼は減ったと思います(笑)また、達成への残数字がリアルにヨメると、やるべき動きが頭に浮かびやすくなります。当事者意識が上がって、指示待ち傾向が減ったと上司には言ってもらえました。でも、初回訪問時の説得力に自信がついて、案件ネタをひろってこれるようになったのが一番です。
品質管理、製造部門をまき込んだ中型、大型案件が増えました。それから、月間だけでなく、半期も見据えた数字の組み立てができるようになったのも成長が実感できるところです。
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代表 福士準一
代表:福士 準一

明治大学卒業後、株式会社リクルートに新卒入社。ロータス株式会社(現日本 IBM )他国内外IT 企業で20年以上の営業、マネジメントを経験。ソフト、ハード、業務 SI 、サービスの拡販にあたる(営業支援システム、ナレッジマネジメント、 Notes 、定型事務ワークフロー、 画像認識システムなど)。関西本社の上場メーカーにおいて、東京営業所長として首都圏開拓・立ちあげ後、独立起業。